今後株が下がると思う理由
3.0%を超えてきた米国10年債利回り
金利には短期金利と長期金利があります。
短期金利は中銀の政策金利の影響を受けやすいですが、長期金利は経済の長期的な見通しを反映しやすいです。
債券の金利が上がるという事は、債券の価格が下がっているという事に他ならないのです。
誰だって少しでも金利が高い債券に乗り換えようとしますし、そうなると金利の低い既発債は売られるのが当たり前です。
この乗り換えの動きが債権価格の暴落=債権利回りの急騰に繋がるはずで、長期金利が上がれば遠からず市場金利に影響します。
下記は米国10年債利回りのチャートですが、既にコロナ前を軽く上回っており、2018年のVIXショックの数値に近付いています。
VIXショックの直接的な引き金は10年債利回りが3.0%を超えてきた事に対する市場の拒否反応です。
しかも今回は、この水準に来ているというのに、FRBは金融引き締めを強く主張しています。
インフレは前回より深刻なので、手を緩めることは出来ないのです。
日米ともに52週移動平均線を下回る
52週移動平均線は元来強気弱気の判断基準にもされやすいラインです。
今回のチャートがリーマン・ショック前と似ているのは、コロナショックからの回復の過程で何度か52週移動平均線がサポートラインになって上昇相場を演じてきた中で、とうとう明確にこれを割り、今度はレジスタンスラインに変化した事です。
移動平均線の向きも完全に下向きに転換し、並び順も上から長→中→短になりました。
ヘボチャーチストでもこれは危険サインなのが明白です。
収まる気配のない米国インフレ率
インフレ率が留まるところを知りません。
原因はウクライナ問題やコロナによる流通の鈍化など様々ですが、インフレが収まらない以上は、各国は金融引き締めをせざるを得ません。
厄介なのは、好景気と企業業績改善に裏付けられたインフレ亢進なら良いのですが、今回は明らかに異なるという処です。
ハイテク株がいよいよ調整
先日Amazonの株価が一晩で14%値下がりしました。
今まで株高を支えてきたハイテク株が軒並み崩れています。
決算発表も悪くなっているので、これを単なる利益確定の動きや、健全な調整と見るのは時期尚早です。
まあ、あれだけ上がったので調整は挟んでしかるべきですが。
今までは、米国株は必ず右肩上がりになるので長期投資しておけば確実に勝てると言われており、特に人気だったのがこれらハイテク株だったことを考えると、今までのやり方がいつまでも通じるわけではないという事も念頭に置かないといけないですね。
地政学リスク、エネルギー問題
ロシアが暴走した一因として挙げられのが、欧州のエネルギーにおけるロシア依存です。
SGDsを推進しすぎてドイツを筆頭にエネルギー不足に陥っていた欧州は、ロシアから石油を買わざるを得なくなっていました。
そして、アメリカが後ろからウクライナを支援するのも、1つに武器を売って利益を上げるためで、もう1つに欧州のロシア依存を引き剥がして、米国産石油を買わせる事です。
今回の戦争で1番美味しい思いをしているのは間違いなく米国です。
ロシアを叩けば親ロシア(と言われている)トランプ派の頭を抑えて中間選挙を有利に運べますしね。
日本も、長期的に見れば脱原発、脱炭素は必要なのでしょうが、無理に今すすめる必要は無いのです。
特に今は石油の値上がりに、世界的な生活必需品の値上がりが重ねて襲いかかってきており、国民生活は困窮の一途です。
物事には順番があると思うのですが如何でしょうか?
金利が跳ね上がると住宅ローン破綻も
マイナス金利が長く続いてきた日本では特に、今後も金利が上がるはずがない。金利が上がると一番困るのは政府と日銀なんだから、死ぬ気で止めるはず、という神話が根強いです。
しかし、グローバル化が進んだ現在、日本一国の思惑で大きな流れを変えることは不可能です。
そして、1番怖いのが、思い込みに基づいて無理な借り入れをしている世帯が実に多い事です。
マイナス金利は企業の新陳代謝(自然淘汰)も麻痺させて来ました。
脆弱な体質の企業は金利が跳ね上がると一斉に倒れて、社会はパニックに陥るでしょう。
更に日本特有のリスクも
日本の特に困ったところは、既に金利をマイナスまで下げており、これ以上の利下げ余地が残されていない事です。
そして、日米金利差により円安が止まりませんが、利上げをすると長期金利も上昇し、国の借金の利息も増えるので、日銀は利上げも出来ません。円安は多くを輸入に頼る資源に乏しい我が国にとっては生活を直撃する問題なので、物価上昇により消費マインドが低下し、内需も萎縮します。
また、財務省は何処までいっても近視眼的で自分本位なので、消費税率の引き下げ等も望めないでしょう。
打つ手なしの状況で海外発の金融危機に巻き込まれるのだけは避けたい所です。
まとめ
私は株式に関して売り目線であるという事は伝わったかと思いますが、決めつけは良くないです。
投資は自己判断自己責任でお願いします。
また、私は株式は不得手ということをご承知ください。