「騙された方が悪い」不動産の世界
私が個人として最初に購入したのは静岡県島田市という所にある築40年の戸建てでした。
「中古住宅」ではなく「建物付き土地」つまり建物はお荷物として売りに出されていたのです。
ですが、梁も柱もしっかりしていて門構えもなかなか立派で、取り壊すには惜しいと思いました。
初心者だった私は、恐る恐る買付申込をした訳ですが、、、
浄化槽という罠
買付申込が通って、決済日を待っていたある日、元付の不動産会社さんから突然ある電話が入りました。
「浄化槽にヒビがあるみたいでして。物件を預かってからこの1年間定期的に点検はしていたのですが、ついこの間気付きました。簡単な修繕はするので、すぐに使えなくなるという事は無いですが、どうします?キャンセルしますか?」と。
私はもう購入する気でいたので「大丈夫です。予定通り買います。修繕してくれるなら問題ないです」と答えたのです。
後になって明らかになった事実
物件を無事に引き渡されて、リフォームが終わったので、入居者募集を始めました。
幸い、1ヶ月弱で入居者さんが見つかったのですが、その入居者さんからこんな電話が。
「浄化槽のメンテナンス契約をしようと思って業者さんを呼んだら、ひび割れがあるからメンテナンス契約はできないと言われました」と。
私はすぐに、浄化槽のメンテナンス業者さんに連絡して、修繕が済んだのではないのか?と質問しましたが「いえ、修繕していたのですが元付会社の○○さんが修繕を途中で止めるように言われたのですよ」と。(修理をしていたのと、定期点検を請け負う業者がその地域では1社だった)
結局、すぐに入居者さんに謝罪して近くに旅館を確保して、2日掛けて浄化槽入れ替え工事をしました。
誠意を尽くして入居者さんに説明して、名前を貸して貰い、自治体の浄化槽助成金も使う事に成功したため、損失額を50万円程度に抑え込めました。
(これ別に違法な話じゃないです)
この事から得られる教訓
普通なら、騙された!元付業者は許せん!となってもおかしくはないのですが、私は冷静に考えました。
購入する前に、何故蓋を開けて、浄化槽の水位や臭いの確認をしなかったのか?
ひび割れが発覚した時に、欲を抑えて契約を白紙に出来なかったのか?
せめて、浄化槽の点検を自分でも手配して状況を正しく把握出来なかったのか?
賃貸に出す前に、業者を呼んで最終確認をできなかったのか?
確かに仲介業者のやった事は道徳的に美しい話ではないですが、投資や事業は全て自己責任。
向こうが、法的に問題のある事をしているならともかく・・・
いや、法的に問題ある行動をしていたとしたら尚更「法的に悪い事をしている向こうが悪いから、こちらは何も反省しなくて良い」と思考停止になってしまう恐れもあります。
思考停止したり、他者に責任転嫁すると人間は楽になります。楽になると大抵は同じ失敗を繰り返します。
という話になります。
数ある業界の中でも不動産の世界は特に、騙そうとしてくる人は多いのです。
ちなみに、私は何食わぬ顔でその業者が持っている売出し物件を内見に行きました。気に入らない相手でも煮え湯を飲まされた相手でも、使える物(儲かる可能性がある物件)は使わねばならないのです。
もちろん前回の失敗を糧にして、調査は徹底するようになりました。
失敗は成功のもとです。
ただし、再起不能のダメージを負ってしまうと駄目です。
私が心掛けていることは
まず果敢に攻めるが失敗した時の金額が許容できないレベル(50万程度なら頑張れば取り戻せるので、ギリギリ許容できる)の場合は、どんなに魅力的な話でも撤退する。
そして、失敗したらそこから何かを学ぶようにしている。という事です。
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